名刺交換した相手にメルマガを送るのはアリ?実務で役立つ「法的ルール」の解説

ビジネス・キャリア系資格

ビジネスの現場で欠かせない名刺交換。交換した相手に対し、後日「自社製品の案内」や「セミナー告知」のメールを送ることは、営業活動の基本です。

しかし、「本人の同意がないのに宣伝メールを送ってもいいのか?」と不安に思う担当者も多いでしょう。実は、ここには個人情報保護法特定電子メール法という2つの法律が密接に関わっています。

今回は、公的なガイドラインを引用しながら解説します。

特定電子メール法の「例外規定」を知る

原則として、営利目的のメール(広告宣伝メール)を送るには、事前に相手の同意を得る「オプトイン方式」が義務付けられています。しかし、特定電子メール法には明確な例外が存在します。

【引用:特定電子メール法 第3条第2項】
次に掲げる者に対して送信される特定電子メールについては、前項の規定(同意の義務)は適用しない。
一 自己の電子メールアドレスを……通知した者
出典:e-Gov法令検索(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)

※総務省のガイドラインでも、「名刺交換によりメールアドレスを記載した名刺を交付することは、自己のメールアドレスを通知したことに該当する」と明記されています。

つまり、相手が自ら名刺(メールアドレス)を差し出した行為は「自己のアドレスを通知した」とみなされるため、事前の同意がなくても宣伝メールを送ることが可能です。

個人情報保護法が求める「利用目的」の壁

特定電子メール法ではOKでも、個人情報保護法の視点を忘れてはいけません。

以前の記事(個人情報の定義とは?)で解説した通り、名刺情報は立派な「個人情報」です。法律では、個人情報を取得する際、あらかじめその利用目的を公表するか、速やかに本人に通知しなければならないと定めています。

実務でのスマートな対策

個人情報保護委員会のガイドラインでは、以下のような考え方が示されています。

【引用:ガイドライン(通則編)】
取得の状況からみて利用目的が明らかであると認められる場合には、利用目的を明示しなくてもよい。
出典:個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)

「商談のための連絡」は明らかですが、「メルマガの送付」まで明らかと言えるかはグレーゾーンです。そのため、以下の対策が推奨されます。

  • プライバシーポリシーへの記載: 「名刺交換で得た情報は、当社サービスのご案内に利用する」と明記しておく。

「送っていい」が「送り続けていい」ではない

法律が許可しているのはあくまで「送信」であり、相手が拒否した後の「継続」ではありません。ここで重要になるのがオプトアウト(配信停止)の仕組みです。

メルマガを送信する際は、以下の項目を必ず記載しなければなりません。

  • 送信者の氏名または名称・住所
  • 配信停止(オプトアウト)ができる旨と、その方法(リンクや返信先)
  • 苦情や問合せを受け付ける連絡先

これらを怠ると、特定電子メール法違反として、最悪の場合「3,000万円以下の罰金(法人)」などの厳しい制約を受けるリスクがあります。

まとめ:信頼を勝ち取る「正攻法」の営業

名刺交換からメルマガへ繋げる際のチェックリストです。

  • [特定電子メール法]: 名刺交換は同意の例外。送信は可能。(総務省の解説ページはこちら
  • [個人情報保護法]: 以前学んだ「利用目的の特定」を意識し、ポリシー等でカバーしておく。
  • [マナーと信頼]: 配信停止リンクは必ず設置し、拒否されたら二度と送らない。

法律はビジネスを縛るものではなく、「どこまでが安全か」を教えてくれるガイドラインです。正しい知識を持って、堂々と営業活動を推進しましょう。

【免責事項】本記事の内容は、公開時点の法令及びガイドラインに基づいた一般的な情報提供を目的としています。個別の事案に対する法的助言を構成するものではありません。実務への適用に当たっては、必要に応じて弁護士等の専門家へご相談ください。本記事の利用により生じた損害等について、筆者および当サイトは一切の責任を負いかねます。

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