Webサイトにアクセスする際、私たちは「https://www.google.com/search?q=google.com」や「yahoo.co.jp」といった文字列をブラウザに入力します。これがドメイン名です。第4回で学んだ「DNS(ドメイン名システム)」の仕組みによって、この人間が読みやすい名前は、コンピュータが理解できるIPアドレスへと変換されます。
しかし、ドメイン名の末尾にある「.com」や「.jp」には、それぞれ明確な役割、管理組織、そして登録のためのルールがあることをご存知でしょうか? 今回は、インターネット上の住所であるドメイン名の階層構造と、末尾の種類(TLD)の違いについて深掘りします。
ドメイン名の階層構造:右から順に読み解くピラミッド
ドメイン名は、ドット(.)で区切られた階層構造を持っており、右側から順に「トップレベル」「第2レベル」……と分類されています。これは、大きな住所(国やジャンル)から詳細な名前へと絞り込んでいく仕組みです。
例えば、example.co.jp というドメインを分解すると、以下のようなピラミッド構造が見えてきます。
- トップレベルドメイン(TLD):
.jp(一番右端)。国やジャンルを表す最上位階層。 - 第2レベルドメイン(2ndLD):
.co。組織の種別などを表す。 - 第3レベルドメイン(3rdLD):
example。登録者が自由に決められる固有の名前。
この階層ごとに「どのネームサーバーが情報を管理するか」が分担されており、DNSはこの階層を右から順に辿ることで、最終的なサーバーの居場所を突き止めます。
TLD(トップレベルドメイン)の2つの大きな分類
ドメインの末尾であるTLDは、その用途や特性によって大きく2つのグループに分けられます。
① gTLD(ジェネリック・トップレベルドメイン)
世界中どこからでも、居住地に関係なく誰でも登録できる分野別のドメインです。
- .com: 本来は商用(commercial)ですが、現在は世界で最も普及している汎用ドメインです。
- .net: ネットワークインフラ用。
- .org: 非営利団体(organization)用。
- 新gTLD: 2012年以降、急増したカテゴリです。
.shop、.tokyo、.app、.onlineなど、特定の用途や地域を名前に含めることができます。
② ccTLD(国別コード・トップレベルドメイン)
ISO 3166という規格で定められた、国や地域ごとに割り当てられたドメインです。
- .jp: 日本
- .uk: イギリス
- .tw: 台湾
- ルール: 原則として、その国に住所がある個人や組織しか取得できないなどの制限が設けられています。これにより、ドメイン名を見るだけで「どの国のサイトか」を推測できる安心感を生んでいます。
日本独自の「属性型jpドメイン」の信頼性
日本のccTLDである「.jp」の中でも、特定の組織形態だけが取得できる特別なドメインを「属性型jpドメイン」と呼びます。
- .co.jp: 日本国内で登記された株式会社、有限会社、合同会社などの「企業」専用。
- .ac.jp: 大学、高等専門学校などの学校法人用。
- .go.jp: 日本の政府機関、独立行政法人用。
これら属性型ドメインには「1組織1ドメイン」という非常に厳しいルールがあり、取得時には登記簿等の審査も行われます。そのため、ユーザーや取引先に対して「このドメインを使っているなら、実在する正式な日本の組織だ」という、極めて高い社会的信頼をアピールすることができます。
ドメインの運用とセキュリティ:名前を守る技術
ドメイン名は単なる「住所」ではなく、企業の「ブランド」そのものです。一度取得した名前を安全に運用し続けるには、以下の技術的対策が不可欠です。
認証レベルと所有権の証明
ドメインを取得した後は、そのドメインを使って安全な通信を行うために、第7回で学んだ「デジタル証明書」を発行します。この際、第30回で解説する「認証レベル(DV/OV/EV)」という基準によって、ドメインの所有権だけでなく、組織の実在性までを証明することが現代のWebビジネスの標準となっています。
なりすまし防止とメールセキュリティ
自身のドメインを偽装した「なりすましメール」を防ぐことも、ドメイン管理者の重要な責務です。そのため、DNSを利用して正規の送信元であることを宣言する「SPF/DKIM/DMARC」といったメール認証技術の導入が急務となっています。
まとめ
ドメイン名は、インターネット上での「アイデンティティ」を象徴する重要な資産です。
- gTLDは世界中で使える汎用的な名前、ccTLDは国や地域を象徴する名前。
.co.jpをはじめとする属性型ドメインは、日本の組織としての「信頼」の証。- DNSの仕組みによって、これらの名前は日々IPアドレスへと変換され、私たちの通信を支えている。
Webサイトやメールサービスを立ち上げる際、どのドメインを選択し、どう守っていくかを計画することは、システムの機能設計と同じくらい重要なプロセスなのです。


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