VPN(仮想専用線)とは? 仕組み、種類、テレワークに不可欠な安全性の理由を解説

IT用語

外出先や自宅から社内のネットワークにアクセスする際、インターネットをそのまま使うのは非常に危険です。通信が盗聴されたり、悪意のある第三者に情報を改ざんされたりするリスクがあるからです。

そこで利用されるのがVPN(Virtual Private Network:仮想専用線)です。今回は、公衆回線の中に自分専用の「トンネル」を作るVPNの仕組みから、代表的な種類であるIPsecとSSL-VPNの違いまでを詳しく解説します。

VPNの基本概念:インターネット上の「仮想的な専用線」

かつて、拠点を安全に結ぶには物理的な「専用線」を敷く必要があり、膨大なコストがかかっていました。VPNは、不特定多数が利用するインターネット上に、仮想的な専用の通路を構築する技術です。

VPNは主に以下の2つの技術によって、物理的な専用線に近い安全性を実現しています。

  • トンネリング: 通信データ(パケット)をカプセル化し、外側から中身が見えないように包み込む技術です。
  • 暗号化: 万が一データが盗み見られても、内容を解読できないようにします。これには共通鍵暗号方式などの技術が使われています。

主なVPNの種類と特徴

VPNには、接続する方法や階層によっていくつかの種類があります。実務でよく使われる2つを比較してみましょう。

① IPsec VPN

OSI参照モデルのネットワーク層(L3)で動作する方式です。

  • 特徴: 拠点間(本社と支店など)を常時接続するのに適しています。
  • メリット: 通信速度が比較的速く、あらゆるアプリケーションを透過的に利用できます。
  • デメリット: 接続元に専用のクライアントソフトや機器の設定が必要になることが多く、導入のハードルがやや高めです。

② SSL-VPN

アプリケーション層(L7)付近で動作する方式で、ブラウザがあれば利用できます。

  • 特徴: 個人のPCやスマホから社内へアクセスする「リモートアクセス」に最適です。
  • メリット: ブラウザの標準機能(SSL/TLS)を使うため、専用ソフトの導入が不要なケースが多いです。
  • デメリット: ブラウザ経由のため、利用できるアプリケーションに制約が出る場合があります。

なぜVPNを使えば「安全」だと言えるのか?

VPNは、以下の「セキュリティの3大要素」を高いレベルで満たします。

  1. 機密性の確保: SSL/TLSなどの技術でパケットを暗号化するため、公衆Wi-Fiなどを使っても中身が漏洩しません。
  2. 完全性の保証: ハッシュ関数を用いたメッセージ認証(MAC)により、通信の途中でデータが改ざんされていないことを確認できます。
  3. 本人認証: 接続時にID/パスワード、あるいはデジタル証明書を用いて、正しい利用者であることを確認します。

テレワーク時代におけるVPNの課題

非常に便利なVPNですが、近年は課題も浮き彫りになっています。

  • 通信速度の低下: 多くの社員が一斉にVPNサーバーへ集中すると、ゲートウェイがボトルネックになり、業務に支障が出るほどの遅延が発生することがあります。
  • VPN機器の脆弱性: VPN装置そのものの脆弱性が狙われる事件も多発しており、常に最新のアップデートを適用する運用が求められます。

このため、最近では「境界」で守るVPNの考え方に加え、すべての通信を信頼しない「ゼロトラスト」という新しいセキュリティの概念も注目されています。

まとめ

VPNは、オープンなインターネット環境を、クローズドで安全なビジネス空間へと変える魔法のような技術です。

  • トンネリングと暗号化によって、仮想的な専用線を作る。
  • 拠点間接続にはIPsec、個人のリモートアクセスにはSSL-VPNがよく使われる。
  • セキュリティの3大要素(機密性・完全性・可用性)を支える重要なインフラである。

企業のネットワークを構築・運用する上で、VPNの特性を理解し、適切な方式を選択することは、情報漏洩を防ぐための第一歩です。次回は、これまでのセキュリティ連載の総仕上げとして、実際にWebサイトを脅かす具体的な攻撃手法脆弱性攻撃(XSS/SQLi)について詳しく解説します。

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