はじめに:変換の「バリエーション」が合格を分ける
前回の第1回では、「主語が誰か」によって尊敬語と謙譲語を使い分ける基本フローを学びました。しかし、実際の試験(特に記述問題)では、基本形である「お~になる/お~する」だけでは対応できないケースが多々あります。
秘書検定2級の合格を確実にするためには、特定の動詞がどのように「変身」するのか、そのバリエーションを正確にストックしておく必要があります。今回は、試験で真っ先に狙われる「特殊な言い換え」の急所を解説します。
動詞だけじゃない「名詞」の敬語化
敬語というと動詞の変化ばかりに目が行きがちですが、秘書検定では「名詞の言い換え」も頻出します。相手に関するものには「お・ご」をつけるだけでなく、言葉自体を格上げする必要があります。
試験に出る名詞変換リスト
- 家:お宅、ご自宅(相手) / 自宅、私宅(自分)
- 考え:お考え、ご意向(相手) / 存じ、愚見(自分)
- 名前:お名前、ご芳名(相手) / 姓名、氏名(自分)
- どこ:どちら、いずこ(相手) / こちら(自分)
- だれ:どなた、どちら様(相手) / 私(自分)
ハックのポイント: 記述問題で「相手の家に行く」というシチュエーションが出た場合、「お家(おうち)」ではなく「ご自宅」や「お宅」と書けるかどうかが、2級レベルの分かれ道になります。
「言う」の周辺にある高度な変換
「言う」が「おっしゃる/申し上げる」になるのは基本ですが、2級ではさらに踏み込んだ言い換えが問われます。
- 「聞く」の変換
- 尊敬(相手): お聞きになる、お耳に入る
- 謙譲(自分): 伺う、承る(うけたまわる)、拝聴する
- 「伝える」の変換
- 尊敬(相手): お伝えになる
- 謙譲(自分): お伝えする、申し伝える
ここが急所: 特に「申し伝える(もうしつたえる)」は、社外の人に対して「(自分の上司に)伝えておきます」と言う際の鉄板フレーズです。非常に狙われやすいので、「自分側の伝達=申し伝える」とセットで覚えましょう。
混同注意!「承知」と「了解」の境界線
試験の状況判断問題でよく出るのが、「相手の依頼を引き受ける際の返事」です。
- × 了解いたしました: 「了解」は上の者が下の者に使う言葉です。
- × わかりました: 丁寧さが足りず、ビジネスシーンには不向きです。
- ○ 承知いたしました: 謙譲のニュアンスが含まれる正しい表現です。
- ◎ かしこまりました: 「承知いたしました」よりもさらに丁寧で、秘書として満点の回答です。
覚え方のコツ: 「了解」は「許可」に近いニュアンスがあると覚えましょう。部下が上司に許可を出すのはおかしいですよね。だから「承知」または「かしこまりました」が正解です。
記述で差がつく「クッション言葉」との組み合わせ
敬語変換ができるようになったら、次は「クッション言葉」を添える練習をします。これができると、記述問題の解答がぐっと「秘書らしく」なります。
- 何かを尋ねる時: 「お差し支えなければ、ご連絡先を伺えますでしょうか」
- 断る時: 「あいにくではございますが、あいにく席を外しております」
- 依頼する時: 「お忙しいところ恐縮ですが、ご確認いただけますでしょうか」
これらのフレーズは、敬語変換とセットで「一つの定型文」として暗記してしまいましょう。
まとめ:変換は「セット」で暗記する
第2回のポイントを整理します。
- 名詞も格上げする(家→お宅、考え→ご意向)。
- 「伝える→申し伝える」など、特定のシチュエーション語を覚える。
- 「了解」はNG。返事は「承知」か「かしこまりました」。
- クッション言葉を添えて、敬語の「角」を丸くする。
敬語変換は、パズルでいう「ピースの形」を覚える作業です。形さえ知っていれば、あとは前回の判別フローに当てはめるだけで、どんな問題も解けるようになります。
次回、第3回は「電話応対編」です。姿が見えない相手に対して、いかにして「信頼」を勝ち取るか。定型フレーズと不在時の対応アルゴリズムを徹底解説します。


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