はじめに:電話応対は「声のインターフェース」
電話応対は、秘書検定2級において非常に配点が高いだけでなく、実務でもその人の評価を左右する重要なスキルです。顔が見えないからこそ、言葉遣い一つで「この会社はしっかりしている」という信頼を与えることも、逆に「不親切だ」という悪印象を与えることもあります。
試験における電話応対のポイントは、「決まったフレーズ(定型句)」と、「相手に二度手間をかけさせない判断(アルゴリズム)」の2点に集約されます。
第一声から取り次ぎまでの「黄金ルート」
電話が鳴ってから相手を上司に繋ぐまで、迷いなく発すべき言葉が決まっています。
① 電話を受ける
- ○:「お電話ありがとうございます。〇〇株式会社でございます」
- ハック: 3コール以内に取るのがマナー。それを超えた場合は「大変お待たせいたしました」を枕詞に置きます。
② 相手を確認し、復唱する
- ○:「〇〇(社名)の△△様でいらっしゃいますね。いつもお世話になっております」
- ハック: 知っている相手であれば「いつもお世話になっております」を忘れないこと。これは試験での加点ポイントです。
③ 取り次ぐ
- ○:「〇〇(上司)でございますね。少々お待ちくださいませ」
- ハック: ここで「少々お待ちください」とだけ言うのは不十分。「ませ」をつけて丁寧に締めるのが2級の基準です。また、保留にする際は必ず「保留ボタン」を押す旨が問題文にあれば、それに従います。
「不在時」の対応:3つのステップ
上司が不在だった場合、ここからが「状況判断」の本番です。相手を待たせたり、不安にさせたりしないためのフローを頭に入れましょう。
ステップ1:不在の理由を簡潔に伝える
- ○:「あいにく〇〇は、ただいま席を外しております」
- ○:「あいにく〇〇は、接客中でございます」
- ハック: 理由を詳しく説明しすぎる必要はありません。「外出中」「接客中」「会議中」のいずれかで十分です。
ステップ2:戻り時間を提示する
- ○:「〇〇時ごろには戻る予定でございます」
- ハック: 相手が「いつかけ直せばいいか」を判断できるよう、目安の時間を伝えるのが秘書の配慮です。
ステップ3:「こちらから」の提案をする
相手に「じゃあ、またかけ直します」と言わせてはいけません。
- ○:「戻りましたら、こちらからお電話差し上げましょうか?」
- ハック: これを「折り返しの提案」と呼びます。相手の時間を奪わないための、最も重要なホスピタリティです。
魔法のスパイス「クッション言葉」
電話応対をぐっと柔らかくし、相手の不快感をなくすのが「クッション言葉」です。これがあるだけで、文章の「秘書らしさ」が跳ね上がります。
- 相手の名前を尋ねる時: 「失礼ですが、お名前を伺ってもよろしいでしょうか」
- 聞き取りにくい時: 「お電話が少々遠いようでございますが、もう一度伺えますでしょうか」
- 確認をお願いする時: 「お手数をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします」
伝言メモ:5W1Hの徹底
電話が終わった後、上司に渡す「伝言メモ」の作成も試験範囲です。
- いつ(日時)
- 誰から(社名・氏名)
- 誰に(上司名)
- 何のために(要件)
- どうしてほしいか(折り返し希望、また電話する等)
- 誰が受けたか(自分の名前)
ハック: 試験の記述問題では、これらの一つでも欠けると減点になります。特に「受けた日時」と「自分の名前」を書き忘れる人が多いので注意しましょう。
覚え方のコツ: クッション言葉は、いわば「緩衝材」です。直接的な依頼(名前を言え、もう一度言え)を、丁寧な依頼へと変換するスイッチだと考えましょう。
まとめ:電話は「定型」の組み合わせ
第3回のポイントを整理します。
- 第一声、復唱、保留の定型句を反射的に出せるようにする。
- 不在時は「理由 → 戻り時間 → 折り返しの提案」の3ステップ。
- 「クッション言葉」を多用して、言葉の角を丸くする。
- 伝言メモは「5W1H+自分の名」を厳守する。
電話応対は、正しい言葉の「型」さえ持っていれば、焦る必要はありません。相手の姿を想像し、丁寧な言葉をパズルのように組み合わせていきましょう。
次回、第4回は「来客接遇:基本編」です。受付での挨拶から応接室への誘導、そしてお茶出しの順番まで。対面だからこそ気をつけたい「振る舞い」のルールを解説します。


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